TGおよびTG–DTA(DSC)の基礎と測定法
- 信頼性の高い測定のために -
熱分析は,実用材料の熱的特性の評価から,新しい材料の基礎物性研究まで広い領域で使われている実験・分析手法です。最近の熱分析装置は,汎用性と実用性の高さゆえにブラックボックス化し,専門的知識や技術が不十分でも簡単に操作できるようになっています。しかし一方で,信頼性の高い測定と測定結果の解釈のためには,測定原理,装置の校正方法,データの読み取り,解析方法などの基礎的内容を十分理解しておくことが必要です。このような基礎事項に関する理解が不足しているために,測定データとその解釈についての信頼性が著しく損なわれる可能性も少なくありません。本講座は研究や開発の現場で熱分析を利用される技術者に必要となる基礎知識・技術を習得してもらうことを目的に,日本熱測定学会の標準化作業グループが中心となって企画しております。前回の第13回から,内容を一新し,特にご要望の多いDSCとTGに関する講座を隔年で実施することにいたしました。熱分析の概要に加えて,それぞれの測定手法について測定原理と測定法,装置の校正,および測定結果の解析について実例をもとに解説します。また,熱分析にかかわる公定法の最新情報や最新の装置を用いた応用事例の紹介を取り入れて,一日コスの基礎講座を企画しました。今回はTGおよびTG–DTA(DSC)をテーマとして取り上げます。実際に熱分析を用いた研究開発に長年従事している経験豊富な講師陣により丁寧な解説をいたします。測定,解析に関する個別のご相談にも対応いたしますので,熱分析に関する問題解決のための有用な機会として是非ご活用ください。