日本熱測定学会は,前記の目的を達するために以下の諸事業を行っています。
1:会誌「熱測定」の発行
会誌「熱測定」は年4回発行され会員には無償で配布されています。 本誌には,熱測定(熱量測定・熱分析)および関連領域における研究論文, ノート,総説,講座,解説その他各種情報などが掲載されており, 会員は誰でも投稿することができます。
2:熱測定討論会(Japanese Conference on Calorimetry and Thermal Analysis)
熱測定討論会は年1回、本学会の主催と約40の関連学協会 (日本化学会,日本分析化学会,日本農芸化学会,日本原子力学会, 資源・素材学会,日本熱物性学会など)の共催・協賛により開かれます。 1994年10月には第30回記念熱測定討論会が,2014年9月には第50回記念熱測定討論会が著名な海外の研究者の参加を得て盛大に開催されました。 最近では外国研究者も含めて数件の特別講演が行われているほか, 特定のテーマを定めてミニシンポジウムが計画実行されています。 また日本熱物性シンポジウムとのジョイントミーティングや, 合同企画として市民公開セミナーが開催されるなど活発な活動が展開されています。 なお,この討論会開催期間中に,熱測定に関連のある装置,機器,図書などの展示会も付設されます。
会員は参加登録科で優遇されています。コロナ禍によって現地開催が難しい状況でも、オンライン配信などを活用して、参加者が有益な情報交換ができるように工夫を行っています。
3:熱測定講習会の開催
本会では熱測定の知識と技術の普及を目的として, 講習会「初心者のための熱分析の基礎と応用」を毎年開催しています。
テーマはできるだけ多くの要望に応えるように選び, 初心者にも十分理解できる内容を盛り込むと同時に, すでに専門的に取り扱ってきた方々にも役立つよう, 基礎的な分野と各種材料分野への応用面も配慮して,講義・実習を行っています。 また受講者が講師と密接に接触して質疑応答する相談コーナーの場も用意し, 同時に内外の熱測定装置の展示実演も行っています。また,これとは別にテーマを絞った講習会も必要に応じて開催しています。
会員は参加費の面で優遇されています。コロナ禍によって現地開催が難しい状況でも、オンライン配信などを活用して、参加者が技術や知識の修得ができるように工夫を行っています。
4:熱測定ワークショップの開催
本会では前記の講習会において主として熱測定に関する一般的知識の普及を図るほかに, 毎年特定のテーマを選んで学術的な討論を主体としたワークショップを開催しています。
このワークショップへの参加は自由で,問題点を絞って活発な討論が行われています。
5:講演会の開催
来日した熱測定および関連領域の外国人研究者による講演会を, 本会主催または関連学協会との共催によりその都度開催しています。
6:グループ活動
本会は必要に応じて研究および作業グループを結成し, 熱測定および関連領域の特定分野について,研究または情報収集活動を行っています。 現在は熱測定応用研究グループ,標準化作業グループが活動しています。
7;出版活動
本会では1985年に「熱分析の基礎と応用」を編集し,前記講習会のテキストとしても使用してきたましたが, 多方面の研究者に好評であったことから1989年には第2版として「新熱分析の基礎と応用」を発行した。1994年には「新熱分析の基礎と応用 第3版-超伝導からバイオまで,その多彩な展開-」を出版しました。さらに1998年には熱量測定と熱分析について測定原理から応用まで幅広く 網羅した世界でも初めてのハンドブック「熱量測定・熱分析ハンドブック」を編集し, 2010年には第2版,2020年には第3版が出版されており,広範な分野で活用されています。1975年に熱分析の専門的教科書として執筆された「熱分析」は1992, 2005年の改訂を経て、2017年に「第4版 熱分析」として出版されています。また,2006年には熱・エネルギーに関する身近な現象を分かりやすく解説した「山頂はなぜ涼しいか―熱・エネルギーの科学」を出版しています。
8:国際協力
国際学術団体(ICTAC,IUPAC, Calorimetry Conference)、 および各国の熱測定関連学会と協力関係にあり, 特にICTAC(国際熱測定連合)の加盟団体として,海外において高く評価されています。 また1986年に第1回のJapan-China Joint Symposium on Calorimetry and Thermal Analysis が中国で開催されて以来、継続して日中のJoint Meetingが開催されています, 最近では,2022年にオンライン国際シンポジウムVIACTAの一部として,9th International and 11th Japan-China Joint Symposium on Calorimetry and Thermal Analysis (CATS-2022)が開催され, 活発な討論がなされました。北米の熱量測定に関する伝統ある会議であるCalorimetry Conferenceとは数年に1回の頻度でジョイント開催をハワイで行っています
9:現在の組織
現在〈2022〉年度の正会員は約400名,学生会員は約70名,名誉会員は17名, 維持会員は31社であり,総会,会長,委員会,幹事会により運営され, 本会会誌「熱測定」は編集委員会の司るところです。
年会費は,正会員7,000円,学生会員3,000円,維持会員30,000円(1口)
会員には上記の学会誌などの配布のほか,メールによる学会情報「熱測定エクスプレス」の配信,討論会や講習会への参加費割引の特典もあります。また、熱測定コンシュルジュという相談窓口を設けており、データの解釈や測定法に関する相談を随時受け付けています。