熱測定スプリングスクール(第84回熱測定講習会)

◆ 第84回熱測定講習会(熱測定スプリングスクール2020)の中止について

日本熱測定学会では,今般の新型コロナウイス感染症(COVID-19)への対応措置と して,3月12日(木)~13日(金)に星薬科大学を会場として開催を予定しており ました「第84回熱測定講習会(熱測定スプリングスクール2020)」の中止を 決定いたしました。本講習会に向けご尽力いただいた諸先生方,講師の先生方, 関連企業の担当者の皆様,参加申込をいただいた皆様には,大変なご迷惑を おかけいたしますが,火急の事態への対応に対してご理解いただきますよう お願い申し上げます。
会員の皆様には,今般の状況の中,ご自愛ください。

日本熱測定学会
会長 古賀信吉

~基礎から応用まで!充実した個別相談であなたの質問へ回答します~


日程:2020年3月12日(木)~ 13日(金)中止となりました。
会場:星薬科大学(〒142-8501 東京都品川区荏原2-4-41)

主催:日本熱測定学会
共催・後援・協賛学協会
会場世話人:米持 悦生(星薬科大学)

機器実習協力企業(順不同)

ネッチ・ジャパン

リガク
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン
パーキンエルマージャパン
日立ハイテクサイエンス
日本熱測定学会企画幹事:名越 篤史(国士舘大学),引間 悠太(京都大学),塚本 修(ネッチジャパン),西本 真琴(和歌山高専)

参加申込方法
 本ページ下部のフォームに必要事項を記入のうえ、申込ください。申込書受理後,参加証・請求書を学会事務局よりお送りいたします。参加費の払い戻しはいたしません。
申込先:日本熱測定学会事務局 〒101-0032 東京都千代田区岩本町1-6-7 宮沢ビル601 
TEL. 03-5821-7120,FAX. 03-5821-7439,E-mail: netsu@mbd.nifty.com

テキスト:講義スライドをまとめた冊子
サブテキスト:「熱量測定・熱分析ハンドブック(第2版)」丸善
 定価8,250円(消費税込)のところ,本講習会参加者には特別割引価格6,900円(消費税込)で販売致します。また,学生を除く両日参加申込と同時に事前購入予約される方に参加費の特別価格を設定しました。 現在,日本熱測定学会では「熱量測定・熱分析ハンドブック」の改訂作業を進めております。これにより、第3版には引き継がれない項目も第2版には多くあります。講習会のサブテキストとして使用するこの機会に、入手されることをお勧めいたします。

プログラム
3月12日(木)
9:40 ~ 9:50 はじめに(講習会の開催趣旨) (企画幹事,国士舘大学)名越 篤史
9:50 ~ 11:20 熱分析の基礎
熱分析は,すべての物質および材料が対象であり,基礎から応用研究,製造および品質管理等まで広く用いられる分析法である。スクールのはじめに, DSC,TGおよびTG-DTA,TMA,DMAの原理および構造を紹介し,各々の特徴と測定における諸問題やその対策,そして基本的な測定・解析ノウハウを測定例とともに紹介する。
(ダイキョーニシカワ)辻井 哲也
11:20 ~ 11:35 休憩
11:35 ~ 12:05 DTA・DSCの校正とJIS
DTAやDSCといった熱分析では、測定の信頼性を確保するために装置の校正は欠かせないものである。本講義では、DTA・DSCにおける校正の必要性や校正時の留意点などを説明する。さらに、DTA・DSC測定の信頼性確保についての留意点やDTA・DSCが関係する日本産業規格(JIS)に関しても簡単に紹介する。
(産業技術総合研究所)清水 由隆
12:05 ~ 13:05 昼食休憩
13:05 ~ 14:20 現場での熱測定とその解釈(ケーススタディ)
JIS規格,参考書を利用した場合であっても,熱分析を扱う現場担当者は,測定条件の決定,得られた結果解釈や解析のために多くの時間を費やす。ここでは結果を導くことに期間短縮が要求される企業の担当者や研究者に必要な実践的な解析の方法,結果の異常判断などケーススタディを中心にDSC,TGの事例とともに紹介する。
(パーキンエルマージャパン)鈴木 俊之
14:20 ~ 14:40 休憩
14:40 ~ 15:05 熱分析による相転移次数・気相との相互作用の解析法―セラミックスを例として
熱分析による相転移の解明は,一次相転移を対象とするものが殆どであったが,昨今は二次相転移も観測可能になってきた。また気体と固体の相互作用の解明に熱分析は有効であるが,気体成分の制御方法のノウハウはあまり知られていない。本講義では相転移次数や気相との相互作用を熱分析で解析しようとする場合の実験上の注意点を講演する。
(日本大学)橋本 拓也
15:05 ~ 15:20 熱分析による種々材料評価事例
熱分析は様々な分野で研究開発,製品の品質管理を目的として材料の熱特性評価に応用されている。今回,高分子材料への応用例として主に以下について測定データを紹介する。
①Liイオン電池材料(主にセパレータ)の融解,収縮等,加熱時の挙動(DSC,TMA)
②モーター樹脂部品の不具合解析(TG-DTA)
(島津製作所)太田充
15:20 ~ 15:45 高分子の基礎と熱分析による評価
高分子は分子鎖が長いため,分子量,コンフィグレーション,コンホメーションに分布を持つ。この分布と長い分子鎖が原因で,結晶性高分子であっても準安定な結晶と非晶が共存し,融点は熱履歴に依存する。融点の熱履歴依存性は,結晶化速度が遅いことが関係する。遅い結晶化速度は非晶の形成にも関係し,ガラス転移温度も熱履歴の影響を受ける。講義では,これらの互いに関係しあう融解,結晶化,ガラス転移について学ぶ。
(星薬科大学)米持 悦生
15:45 ~ 15:55 休憩
15:55 ~ 16:10 研究事例報告:超高速DSC (Flash DSC)の技術革新と将来の応用展望
Flash DSCはDSCを発展させたもので、薄膜センサにより数千~数万℃/秒までの昇温/冷却速度の測定が可能です。新たに開発されたFlash DSC2+では、最大温度が1000℃となり、ポリマーや有機物に加えて金属やケイ酸塩ガラスなどの他の無機材料も評価できます。ここではFlash DSCのいくつかの異なる材料のアプリケーション事例をご紹介します。
(メトラートレド)渡辺利信
16:10 ~ 16:35 ITCによる解析でわかることは何か
ITCは,分子間相互作用の結合比,結合定数,結合時のギブス自由エネルギー変化,エンタルピー変化,エントロピー変化の全てをただ1回の測定で決定できる有用な方法である。他の方法で解析が困難である,分子間相互作用の結合比や,低分子量の分子の結合時の上記のパラメーターを,正確に簡便に決定できるのは特筆すべき点である。
(東京理科大学)鳥越秀峰
16:35 ~ 17:25 個別相談
(一般)辻井哲也、清水由隆
(無機・金属)橋本拓也
(有機・高分子)米持悦生
(バイオ・医薬品)鳥越秀峰
(各装置)メーカーご担当者
17:25 ~ 17:30 1日目クロージング
3月13日(金)
9:30 ~ 9:55 無機物質のDSC
金属および無機固体の熱容量,熱膨張率,熱伝導率などの熱的性質の温度変化の様子について簡単に紹介し,それが熱分析によってどのように観察されるのか,特に相転移での現象について解説する。
(東京工業大)川路均
9:55 ~ 10:20 低分子医薬品の物性評価における熱分析の利用法
医薬品の開発研究において,熱分析は少量のサンプルで多くの情報を得ることができる有用な分析手段である。特に低分子原薬の結晶形にまつわる評価において熱分析は不可欠であり,また測定法の工夫の仕方を知ることで,利用の幅は大きく広がる。本講演では原薬評価における注意点や測定条件の工夫の仕方,およびデータの解釈について解説する。
(物質・材料研究機構)川上亘作
10:20 ~ 10:30 移動・休憩
10:30 ~ 12:00 実習(実習前講義も含む)1回目
午前・午後でそれぞれ90分の実習とし、“無機・金属(DSC,TG-DTA)”、“有機・高分子(DSC)”、“バイオ・医薬品(DSC,ITC)”の3テーマから1つを選択してください。
“有機・高分子(DSC)”を選択した場合、さらに“チップセンサー方式DSC”,“熱流束DSC”,“入力補償DSC”の3つのDSCから2つを選択してください.当日の変更も受け付けいたします。
(1)無機・金属(実習)
① DSC 「DSC測定による硝酸カリウムの相関係の決定」(東京工業大学)川路 均
比較的単純なイオン性結晶であるにも関わらず,奇妙な相転移挙動を示す硝酸カリウムについてDSC測定を行ない,相転移に伴うDSC曲線の変化について実習を行う。さらに,その測定結果の解析を行い,この分析法の原理を理解し,物質の相関係を理解するための解析法を習得する。
② TG-DTA 「TG-DTAによるセラミックスからのガス脱離・一次相転移・二次相転移の観測」(日本大学)橋本 拓也
Ba2In2O5のTG-DTA測定を実施することによって、セラミックスからのH2Oの脱離・一次相転移・二次相転移の観測の実習を行う。各々がTG-DTAではどのように観測されるかを体験していただくとともに、昇温および降温測定の両方が相転移等の解析には必要であることを実感していただく。
(2)有機・高分子
① チップセンサー式DSC 「Chipセンサー検出方式超高速DSC(Chip DSC)による熱分析」(ダイキョーニシカワ) 辻井 哲也
チップセンサー式DSC用いて高分子材料(ポリカーボネート,もしくはポリエチレンテレフタレート)の走査速度依存性の測定を試みる。新方式のDSCにおけるサンプリング,測定および解析を体験し,測定データの取り扱いについての実習をする。 ② 熱流束型DSC 「高分子の熱分析」(星薬科大学) 米持 悦生
高分子の融解,結晶化,ガラス転移の測定を通じて,講義で学んだ内容を再確認する。熱履歴の異なる高分子の融解,結晶化,ガラス転移がどのように観察されるかを,データを解析をしながら学び,これらの熱データからどのような情報が得られるかを考える。
③ 入力補償型DSC「高分子材料の熱測定による特徴付け」(群馬大学)上原 宏樹,撹上 将規
最も単純な構造を有するポリエチレンを対象として、DSCを使って異なる温度で等温結晶化を行い、その融点を測定することで、平衡融点や完全結晶の融解エンタルピーの予測を行います。これにより、分岐等の不純物含有量を予測したり、結晶化度を熱測定から評価したりするための方法論を解説します。
(3)バイオ・製剤
① DSC 「低分子医薬品のDSC測定」(物質・材料研究機構)川上 亘作
低分子医薬品化合物を測定対象として、融解、多形転移、ガラス転移、結晶化の観察を行う。測定に際して注意すべき基本的事項の解説に始まり、それらの現象がどのように見えるのか、またどのように解析するのかを体験し、医薬品の開発研究におけるDSCの上手な使い方を習得する。
② ITC 「ITCによる解析で注意することは何か」(仮)(東京理科大学) 鳥越 秀峰
ITCで結合を解析する2個のサンプルは同一の緩衝液で同時に透析し,透析外液でサンプルの濃度を調整する必要がある。ITCプロファイルから信頼できる熱力学量を得るために注意するべき実験条件がある。ITCプロファイルから得られる熱力学量が,結合に伴う正味の熱力学量とは限らず,補正が必要な場合がある。これらについて解説する。
の3つから選択したテーマにそった実習を体験していただきます。
12:00 ~ 13:00 昼食休憩
13:00 ~ 13:25 DSC測定とin-situ X線測定の融合による高分子材料の融解挙動解析
高分子材料のDSC測定では、しばしば、多重ピークなど、複雑な形状を有するプロファイルが得られます。今回は、吸熱ピークと発熱ピークがオーバーラップする特異なDSC融解プロファイルを示すポリプロピレン試料を対象に、昇温過程でのin-situ X線測定を組み合わせることで、各ピークの帰属を行った事例を紹介します。
(群馬大学)上原宏樹
13:25 ~ 13:30 休憩・移動
13:30 ~ 15:00 実習2回目
15:00 ~ 15:15 移動・休憩
15:15 ~ 16:25 個別相談
16:25 ~ 16:30 クロージング